ぼくの世界では

君野世界 on 表裏一体

始発

 

 いつもは上川駅6:07発の始発に乗って旭川へ向かう。旭川には7:14に着くため、1時間と7分の小旅行である。

 だけど、その小旅行も今日は一味違った。旅行会社のミスでなんと出発が77分も遅れた。77分も遅れると、さすがに2発(始発の次の電車)の時間も追い越してしまう。いつもは見ない高校生なんかも乗っていて、ぎろぎろと動かす目は本当に目障りで仕方ない。しかし、目障りだと思うのは、僕はまだやつらを対等に思っているということだろう。僕は辺りを見回した。他に、高校生の姿を気にしているような大人は誰一人いなかった。 

 女子高校生の1人が電話をしだした。「もしもし」「今東旭川に止まってる」「駅に止まってる」「うん、わかったー」

 隣にいたおばさんが言った。「心配してお父さんが連絡くれたの」「そうなんです」

 なんだ、やつらはやっぱり守られた存在なんだ。僕はなんとなく座り直し姿勢を正した。

 高校生は前髪を直した。